ビジュアル・ニュース解説

「ビッグデータ」でどんなことができるの?

2014.2.3 掲載
「ビッグデータ」という言葉を見聞きする機会が増えています。情報端末の進化やソーシャルメディアなどのIT(情報技術)サービスの普及にともない、多様で大量のデジタルデータが日々生まれるようになりました。これがビッグデータです。データを処理・蓄積する情報機器の性能や分析技術が飛躍的に向上したことにより、ビッグデータをマーケティングや商品開発、業務改善などビジネスに生かす企業が増えています。国や自治体も注目しており、防災や医療、農業など様々な分野で活用が期待されています。今回はビッグデータとは何か、企業の活用事例、本格的な普及に向けた課題などについて解説します。

3. 「モノ」から生まれるデータにも注目

3. 「モノ」から生まれるデータにも注目
 ビッグデータの利用は医療や農業、社会インフラなど様々な分野に広がっています。東京大学などはがんや糖尿病などの患者30万人分のデータを収集し、病気の原因究明や副作用の少ない薬の開発に取り組んでいます。富士通はイオンと共同で畑にセンサーとカメラを設置し、土壌中の水分量や温度、湿度などのデータを収集して、農作物の生産性や品質を向上させています。
 現在、利用が進んでいるデータは主として「ヒト」の行動に起因して生まれるものです。これに対して、今後注目されそうなのが「モノ」から生まれるデータの利用です。エレベーターやビルの空調設備、発電システム、自動車や電車、飛行機など、様々な機器や設備に各種センサーを取り付けて、絶えず計測・記録される稼働状況のデータを詳細に分析することで、事故や故障を未然に防ぐことを目指しています。
 すでに取り組みは始まっています。日立製作所は火力発電所のガスタービンや高速鉄道にセンサーを取り付けて稼働状況を監視し、保守管理に生かしています。NTTデータは12年に東京港に完成した東京ゲートブリッジの要所に振動やひずみなどを計測するセンサーを取り付けて毎秒数千件のデータを収集し、劣化を早期に検知できるようにしています。
 あらゆるモノにセンサーや通信装置などを組み込み、ネットを通じてつなげることで生まれる新たな価値・サービスや、それを実現する技術は「インターネット・オブ・シングス(IoT=モノのインターネット)」と呼ばれます。
2014年2月3日掲載