ビジュアル・ニュース解説

消費税率、来春8%に引き上げ~増税の経緯と影響について知る

2013.12.16 掲載
消費税率が2014年4月から8%に引き上げられます。財政再建へ道筋をつけるのが目的ですが、駆け込み需要により住宅や自動車など高額品の販売が伸びるなど、国内消費に影響を及ぼします。増税分を製品やサービスの価格に上乗せすれば販売減少につながるおそれがあることから、どの程度転嫁するか、端数処理をどうするかなど、企業は難しい判断を迫られます。今回は消費税導入と税率引き上げの経緯のほか、消費増税への企業の対応、暮らしや経済への影響などについて解説します。

2. 端数処理や表示方法など、企業により異なる対応(1)

2. 端数処理や表示方法など、企業により異なる対応(1)
 消費増税によりさまざまなモノやサービスの税込み価格が上がりますが、課税対象には公共料金も含まれます。電気料金は電力大手10社とも3%分を上乗せする方針です。ガスや郵便料金、銀行の手数料なども増税の転嫁で一斉に上がる見通しです。
 交通機関はやや複雑な対応になりそうです。1円単位の支払いがしやすいICカードが普及していることから、国土交通省は消費増税後の運賃について1円刻みで転嫁を認めます。これに基づき、東日本旅客鉄道(JR東日本)は「Suica(スイカ)」などICカードを使う場合は1円単位で運賃を改定します。ただ、駅の券売機では1円・5円硬貨を扱うのが困難なため、従来通り10円単位とします。つまりICカードは増税分を上乗せした上で「小数点以下を四捨五入」、切符では「10円未満を切り上げ」となります。例えば150円の区間ではICカード利用は154円、切符購入だと160円になりますが、切符の値上げ幅が増税分より大きくなることから、鉄道各社は定期券や回数券の割引率を高めることを検討しています。
 首都圏では私鉄や地下鉄もICカードで1円単位の運賃を導入する方針です。首都圏に比べてICカード利用率が低い関西や九州、北海道ではICカードも10円刻みで運賃を改定する見通しです。JR東日本以外のJR各社はICカード利用も券売機と同じ10円単位の運賃を維持します。
 現金利用の割合が高いバスは「10円未満を四捨五入」する運賃改定となる見通しです。例えば運賃が150円の場合、増税後も150円に据え置かれます。200円だと現金払いなら210円となります。
 タクシーは前回の消費税率引き上げ時、法人と個人で対応が分かれました。法人のほとんどは初乗りを10円値上げして運賃加算の距離も短くしましたが、個人タクシーは据え置きました。今回、東京都内の大手タクシー会社は3%の増税分を運賃に上乗せし、中型車の初乗り運賃を現行の710円から730円に引き上げる方針です。
2013年12月16日掲載