消費税はモノやサービスの消費に対し幅広く課される税金で、税を納める者(納税義務者)と実際の税負担者が一致しない間接税です。欧米などでは「付加価値税」とも呼ばれます。欧州の主要国をはじめ世界の多くの国々が導入しています。収入に課す所得税や法人税、財産に課す相続税や贈与税などと違い、世代や収入に関係なく幅広く税を課すことができ、税収が景気の動向に左右されにくいのが特徴です。日本の消費税収は毎年10兆円前後で安定しています。
日本に消費税が導入されたのは1989年です。戦後の税収は所得税や法人税などの直接税(納税義務者と税を負担する者が同じ税)が中心でしたが、少子高齢化により働く現役世代の数が減っていく一方で、年金などの社会保障支出の増加が予想されました。社会保障の財源を確保するために直接税を増税すれば、現役世代に過度に負担が集中することになります。そこで国民全体が幅広く負担し、安定的な財源を確保できる大型間接税導入の論議が本格化しました。その結果、税率3%の消費税が導入され、97年には税率が5%に引き上げられました。
しかし、その後も日本の財政赤字は増大の一途をたどり、財政再建と社会保障制度を維持するためにさらなる増税を迫られました。民主党の野田政権下の2012年8月、消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%にそれぞれ引き上げることを盛り込んだ社会保障と税の一体改革関連法が成立しました。この法律は付則で経済状況などを勘案して増税するかどうかを判断することを定めていましたが、景気指標が回復傾向を示したことから、安倍首相は13年10月に消費増税を正式に表明。14年4月から消費税率が8%に引き上げられることが正式に決まりました。