標準理論にある素粒子17種類のうち、ヒッグス粒子だけは本当にあるのか実験で確かめられず、理論上の存在にとどまっていました。ヒッグス粒子の存在を立証するため、欧州合同原子核研究機関(CERN)が主導する国際共同研究チームが1980年代から、大型の加速器(電子や陽子などの粒子を光速近くまで加速して高いエネルギーを持つ状態を作り出す装置)を使って、その痕跡を探す実験を続けてきました。
2012年7月にCERNはヒッグス粒子とみられる新粒子の発見を公表。その後、実験を重ねた結果、13年3月に新粒子がヒッグス粒子であると断定しました。ヒッグス教授らの提唱から約50年を経て、ヒッグス粒子の存在が証明され、標準理論を完成させるパズルの最後のピースが埋まったのです。ヒッグス粒子理論の功績により、ヒッグス氏とアングレール氏は13年にノーベル物理学賞を受賞しました。