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「ヒッグス粒子」理論にノーベル物理学賞~素粒子研究の基礎を知る

2013.12.2 掲載
万物の質量(重さ)の起源とされ、「神の粒子」とも呼ばれる素粒子「ヒッグス粒子」。2012年7月にその存在が実験で確認され、13年のノーベル物理学賞はヒッグス粒子の存在を提唱した英国とベルギーの研究者2人に授与されました。物理学の基礎理論に関わるヒッグス粒子の発見により、宇宙の謎を解き明かす研究が加速しそうです。今回は素粒子の基礎知識やヒッグス粒子の役割、素粒子研究への日本の貢献、研究の今後の焦点などについて解説します。

4. 物に質量を与えるヒッグス粒子の発見

4. 物に質量を与えるヒッグス粒子の発見
 標準理論にある素粒子17種類のうち、ヒッグス粒子だけは本当にあるのか実験で確かめられず、理論上の存在にとどまっていました。ヒッグス粒子の存在を立証するため、欧州合同原子核研究機関(CERN)が主導する国際共同研究チームが1980年代から、大型の加速器(電子や陽子などの粒子を光速近くまで加速して高いエネルギーを持つ状態を作り出す装置)を使って、その痕跡を探す実験を続けてきました。
 2012年7月にCERNはヒッグス粒子とみられる新粒子の発見を公表。その後、実験を重ねた結果、13年3月に新粒子がヒッグス粒子であると断定しました。ヒッグス教授らの提唱から約50年を経て、ヒッグス粒子の存在が証明され、標準理論を完成させるパズルの最後のピースが埋まったのです。ヒッグス粒子理論の功績により、ヒッグス氏とアングレール氏は13年にノーベル物理学賞を受賞しました。
2013年12月2日掲載