ビジュアル・ニュース解説

「ゆるキャラ」ブームの現状を知る

2013.11.18 掲載
「ゆるキャラ」ブームが全国に拡大中です。関連グッズの販売や観光客の誘致などによって大きな経済効果が期待できることから、投票で人気ナンバーワンを決める「ゆるキャラグランプリ」では毎年各地で熱い“選挙戦”が繰り広げられています。今回はゆるキャラとは何かやその変遷、自治体の取り組みやその課題などについて、代表的なゆるキャラの紹介を交えながら解説します。

1. 作成主体や目的、モチーフはさまざま

1. 作成主体や目的、モチーフはさまざま
 「ゆるキャラ」とは「ゆるいマスコットキャラクター」の略で、独特のほのぼのとした雰囲気を漂わせたマスコットキャラクター全般の呼称です。イラストレーターのみうらじゅん氏がこの呼び名を考案したとされています。
 作成主体は地方自治体や観光協会、企業、個人などさまざまです。地域の名産品や観光名所などをPRするためのものが多いですが、企業が商品・サービスの広告・宣伝のために作製したり、個人が自発的に考案したものなどもあり、その目的は多岐にわたります。
 なかでも目立つのが、郷土愛を前面に打ち出した「ご当地キャラ」です。近年、地域の魅力をアピールするために、自治体がご当地キャラを活用する動きが全国に広がっており、関連グッズが好調な売れ行きを示すなど社会現象となっています。
 自治体がイベントPRなどのためにキャラクターを作る例は以前からありました。例えば、群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」は1983年に同県で開催された国民体育大会のPRのために登場したキャラクターです(現在のぐんまちゃんは2代目)。
 全国各地にゆるキャラが相次ぐブームのきっかけは滋賀県彦根市の「ひこにゃん」だといわれます。ひこにゃんは彦根藩二代藩主・井伊直孝を雷雨から救ったと伝承される招き猫と、井伊軍団のシンボルだった赤備え(あらゆる武具を朱色に塗った戦国時代の部隊編成のこと)の兜(かぶと)をモチーフとして生まれたキャラクターです。2007年に築城400年を迎えた彦根城の記念イベント「国宝・彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターとして登場し、その独特の愛らしさ=“ゆるさ”が話題を呼んで全国から人気を集めました。これ以降、全国の自治体が独自のマスコットキャラクターを作ったり、知名度の高いキャラクターをご当地キャラとして公認したりする例が増えました。
2013年11月18日掲載