自治体にとって、ゆるキャラが生む経済効果は小さくありません。グランプリで上位に入ることなどによってキャラクターの知名度が向上すれば、自治体自体のPRにつながり、地域の名産品の売れ行き向上や観光客の増加が見込めます。実際、11年に彦根城を訪れた観光客数は、ひこにゃんが登場する前に比べて2倍に増えています。比較的少ない費用でご当地をPRできるのも魅力です。
「くまモン」のようにキャラクター利用を積極的に進めることで大きな経済効果をもたらした例もあります。くまモンは11年3月の九州新幹線の全線開業を控えて熊本県をPRするために展開された「くまもとサプライズ」キャンペーンのキャラクターとして10年に誕生。同県は10年12月から、県産品や県のPRに役立つ商品などを対象にキャラクターを無償で使用することを認めてきました。11年のゆるキャラグランプリで優勝したことをきっかけに全国的に知名度がアップし、使用許可は13年6月末時点で1万件を突破、関連商品の12年の売上高は少なくとも293億円と11年比で11.5倍に達しました。熊本県のPRに大きな役割を果たすと同時に、企業の収益機会の拡大にもつながっています。
もちろん、自治体が主導するゆるキャラのすべてが成功しているわけではありません。千葉県船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」が、別にある自治体の公認キャラクターを上回る人気を博すなど、自治体の思惑通りにはいかない例もあります。
ゆるキャラグランプリ2013年の結果は11月23、24日に埼玉県羽生市で開催される「ゆるキャラさみっとin羽生」で発表されます。今大会では初めて企業枠も設けられました。自治体や企業それぞれの思惑や意向を受けたゆるキャラの人気投票がどんな結果となるのか、今回も注目されます。