現在の形のオリンピック競技大会は19世紀末に始まりました。後に「近代オリンピックの父」と呼ばれるフランスのピエール・ド・クーベルタン男爵が、1894年にパリで開かれた国際スポーツ会議の席上で、古代オリンピックにならった近代オリンピックの開催を提案。有志によるIOCが発足し、1896年に古代オリンピック発祥の地ギリシャのアテネで第1回オリンピック競技大会が開催されました。
IOCの役割や五輪の根本原則などについて規定する「オリンピック憲章」は世界の発展や相互理解、平和共存などを掲げています。こうした近代五輪の基本的な考え方(オリンピズム)を広める一連の活動は「オリンピック運動」と呼ばれます。この運動の一環として夏季と冬季に開かれるのが五輪大会です。IOCは「国内オリンピック委員会(NOC)」「国際競技連盟(IF)」「大会組織委員会(OCOG)」などと協力して大会を主催します。
IOCは国際機関ではなく、NOCのある国から任命される「IOC委員」で組織されています(定員115人)。IOCの管理と運営全般に責任を負うのが会長、副会長、理事で構成する「IOC理事会」で、最高意思決定機関はIOC委員全員が集まる「IOC総会」です。理事会メンバーの選出、五輪競技種目や開催地の決定など、五輪に関する重要事項はIOC総会で投票により決まります。2013年9月にブエノスアイレスで開かれたIOC総会では次期IOC会長の選挙も実施され、ドイツのトーマス・バッハ氏が第9代会長に選出されました。任期は8年で、20年の東京五輪の時にもIOCのかじ取りを担うことになります。
ちなみに20年の五輪招致レースではIOC委員の間で「新会長は欧州出身のバッハ氏が有力視されているから、20年の五輪開催は欧州(スペインのマドリード)を外そう」というバランス感覚が働き、これが東京の勝利の一因となったともみられています。9月に開催されたIOC総会では20年五輪の実施競技を決める選挙も行われ、28競技の最後の1枠にレスリングが選ばれました。