各国の都市が五輪大会を招致する目的はさまざまですが、最大の狙いは経済効果でしょう。64年の東京五輪では、国などが総事業費1兆円を投じて競技施設のほか、東海道新幹線や東京モノレール、首都高速道路などのインフラ施設を建設。高度経済成長と重なり、大きな経済効果をもたらしました。大会はテレビが本格的に普及するきっかけになり、乗用車の普及も進みました。
20年の東京五輪の期間中、来場者数は延べ約1000万人と予想されており、東京都は13~20年の国内経済への直接の経済波及効果を約3兆円と試算しています。最も大きな金額を占めるのは観光や広告などサービス業で6510億円、これに建設業(4745億円)と商業(2779億円)が続きます。企業の設備投資も増えるとみられ、金融・保険業の経済波及効果は1178億円を見込んでいます。五輪開催に伴う観光産業の成長やインフラ整備までを含めると、経済効果は150兆円規模に達するという民間予測もあります。
産業界では内需拡大を期待する声が高まっています。東京株式市場では五輪開催の決定直後から、インフラ整備の加速や訪日客の増加を見込み、建設、不動産、ホテル、スポーツ用品をはじめ関連企業の株式を買う動きが広がりました。