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2020年夏季五輪、東京開催が決定 ~近代五輪の基礎と経済効果を知る

2013.10.7 掲載
2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、20年の第32回夏季五輪を東京で開くことが決まりました。東京都は直接の経済波及効果を約3兆円と試算しており、日本経済再生の起爆剤として期待されています。その一方で、交通手段や宿泊施設の確保などの課題も多く、将来は採算が取れなくなる過剰なインフラ整備を懸念する声もあります。今回は近代五輪の基礎、東京五輪計画の概要と経済効果、五輪開催に向けての動きと課題などについて解説します。

2. 東京で56年ぶりの開催が決定

2. 東京で56年ぶりの開催が決定
 五輪は「国」ではなく「都市」で開催されます。大会の7年前のIOC総会の投票により、候補都市の中から開催地が決まります。決定までの流れは、まずNOCが国内の立候補都市を1つに絞り、IOCに立候補を申請します。続いてIOC理事会が正式に立候補都市を決定し、IOC評価委員会が各都市を視察。会場の施設や資金計画などを調査して報告書を作成します。この間に立候補都市には数度のプレゼンテーションの機会が与えられます。IOC委員は報告書や立候補都市のプレゼンテーションの内容を参考に、IOC総会で投票します。投票は過半数を得る都市が出るまで繰り返されます。
 20年の夏季五輪の開催地は東京のほか、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)で争われ、13年9月のIOC総会で東京が選ばれました。東京の立候補はリオデジャネイロ(ブラジル)での開催が決まった16年大会に続き2回連続で、雪辱を果たした格好です。東京開催は1964年大会以来56年ぶりで、2回目の開催はアジアで初めてです。
 会期は7月24日~8月9日で、28競技306種目が37会場で実施されます。コンパクトな会場配置で移動しやすさを打ち出しているのが特徴で、サッカーを除く33会場が東京圏に配置され、うち28カ所は臨海部の晴海地区(東京・中央)に設置する選手村から半径8キロメートル内になります。
 競技場は2つのエリアに分かれ、64年大会で使った東京体育館など既存施設が中心の内陸部は「ヘリテッジ(遺産)ゾーン」と呼ばれます。国立競技場は約1300億円をかけて開閉式屋根付きに建て替えられ、メーン会場となるオリンピックスタジアム(新国立競技場)に生まれ変わります。臨海地区の「東京ベイゾーン」には水泳の会場となる「アクアティクスセンター」などの大規模施設が建設され、東京の姿は大きく変わりそうです。
2013年10月7日掲載