本来はまだ食べられるのに売れ残りや販売期限切れなどによって捨てられる食品のことを「食品ロス」といい、社会問題になっています。国内では約1700万トン の食品廃棄物が排出され、このうち食品ロスは年間500万~800万トンに達します。これは国内におけるコメの年間収穫量約850万トン(12年)に匹敵し、世界の飢餓に苦しむ人々への年間の食料援助量約400万トン(11年)を大きく上回ります。日本は食料の多くを輸入に頼っていますが、その一方で食べられる食料を大量に捨てている状態です。
政府は食品ロスの削減を推進しており、食品に関わる企業の間でも具体的な取り組みが始まっています。そのカギとなるのが賞味期限です。13年春には商品刷新に合わせて食品の賞味期限を長くするメーカーが目立ちました。ハウス食品はゼリー状ポン酢の容器を、劣化の原因となる太陽光を通しにくい素材に改良し、賞味期限を従来より3カ月長い1年に延ばしました。エスビー食品も包装材の工夫でパックごはんの賞味期限を2カ月長い8カ月にしました。
一定期間経過後の品質を再検査することで賞味期限を延ばす企業も増えています。キリンビバレッジは主力の紅茶飲料「午後の紅茶」の紙パック商品など4種類の賞味期限を従来の180日から270日に、カゴメは缶入り野菜飲料「野菜一日これ一本」を1年長い3年にそれぞれ延ばしました。製品の賞味期限は原則としてメーカーが個別に決めていますが、業界団体がガイドラインを設けている場合もあり、食品業界全体でこの見直しを始めています。