ビジュアル・ニュース解説

「食品ロス」を減らそう!~賞味期限をめぐる企業の動向を知る

2013.9.16 掲載
まだ食べられるのに賞味期限切れで捨てられる「食品ロス」が社会問題となり、賞味期限を見直して食べられる期間を長くする食品メーカーが増えています。食品・流通業界は2013年8月から、食品ロス削減に向けて「3分の1ルール」と呼ばれる商慣行を試験的に見直しました。今回は賞味期限などの食品表示制度の概要や食品ロスの現状、食品・流通業界の問題への対応などについて解説します。

2. 品質劣化までの期間により賞味期限か消費期限を表示(2)

2. 品質劣化までの期間により賞味期限か消費期限を表示(2)
 さまざまな表示項目のなかで、消費者から特に注目されているのが期限表示でしょう。すべての加工食品はJAS法と食品衛生法に基づき、食品の特性の違いによって賞味期限か消費期限のいずれかの表示が義務づけられています。賞味期限は食品をおいしく食べられる期限を指し、その期限を過ぎてもすぐに捨てる必要はありません。スナック菓子やカップめん、レトルト食品、缶詰など、品質の劣化が比較的遅い製品に付けられます。これに対し、消費期限は食品の安全を確保できる期限で、その期限を過ぎたら食べてはいけません。弁当や総菜、調理パンなど、短期間で傷みやすく、製造からおおむね5日以内に食べた方がよい食品に付けられています。いずれも大腸菌群の残存などを知る微生物試験、酸度や栄養成分などを調べる理化学試験、味や香り、色などをみる官能試験の結果に基づいてメーカーなどの判断で決めます。
 賞味期限は食べられる限界の期間に1.0未満の「安全係数」を掛けて算出します。たとえば、各種試験により100日は十分においしく安全な状態が保たれるとわかった場合、安全係数を0.8とすれば賞味期限は100日×0.8=80日です。安全係数は企業が決めるため、その裁量によって賞味期限は変わります。
2013年9月16日掲載