ビジュアル・ニュース解説

「3Dプリンター」で何ができるの? 何が変わるの?

2013.9.2 掲載
印刷するような感覚で複雑な立体物を造形できる「3D(3次元)プリンター」が注目を集めています。技術革新により精度が向上し、使える素材も多様化していることから、製造業のほか、医療や教育、ファッションなどさまざまな分野で活用が期待されています。価格低下をきっかけに、個人の利用も急速に広がっています。今回は3Dプリンターの基本的なしくみと種類、注目されている背景、最新動向、本格普及に向けた課題などについて解説します。

3. 製造業からその他の分野へ、企業から個人へと利用の裾野が拡大

3. 製造業からその他の分野へ、企業から個人へと利用の裾野が拡大
 製造業以外の分野でも3Dプリンターが活用されつつあります。医療分野では、脳や気管など複雑な形状の臓器模型の作製のほか、患者にぴったり合った人工骨やインプラント(人工歯根)づくりなどに使われています。ファッション分野では「筋肉」をモチーフにした有機的な質感のデザインを樹脂素材を使って表現した例があります。素材がさらに進化すれば、従来の縫製ではできない立体的な衣装を作り上げることができるようになるかもしれません。
 3Dプリンターは以前は数百万~1億円程度と高価で、産業用が中心でしたが、近年は個人の利用を想定した1台十数万円の製品も登場しています。国内ではビックカメラが組み立て式の3Dプリンターを14万7000円で、ヤマダ電機が3Dシステムズの個人向け機種「Cube(キューブ)」を実勢価格約16万8000円でそれぞれ販売するなど、小売店も3Dプリンターの取り扱いを始めており、身近なものになりつつあります。このほか、利用者の設計データをもとに造形物を出力するネットサービスや、3D設計データを共有するコミュニティーサイトなど、個人向けサービスも増えています。
2013年9月2日掲載