ビジュアル・ニュース解説

「3Dプリンター」で何ができるの? 何が変わるの?

2013.9.2 掲載
印刷するような感覚で複雑な立体物を造形できる「3D(3次元)プリンター」が注目を集めています。技術革新により精度が向上し、使える素材も多様化していることから、製造業のほか、医療や教育、ファッションなどさまざまな分野で活用が期待されています。価格低下をきっかけに、個人の利用も急速に広がっています。今回は3Dプリンターの基本的なしくみと種類、注目されている背景、最新動向、本格普及に向けた課題などについて解説します。

2. 金型を使わずに複雑な立体物が作れる装置(2)

2. 金型を使わずに複雑な立体物が作れる装置(2)
 3Dプリンターを最終製品の量産に活用しようとする大手メーカーも出てきました。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は航空機のジェットエンジンの燃料ノズルを3Dプリンターで量産する準備を進めています。これまでは20個のパーツを組み立ててつくっていましたが、合金素材から一気にノズルにまで一体成形します。これにより生産工程を減らすほか、大幅な軽量化や耐久性能の向上にもつなげる考えです。日本ではパナソニックが家電製品の大量生産に活用する方針を打ち出しています。樹脂部品の製造に必要な金型を3Dプリンターを使って低コスト・短期間で製作します。同様の手法は自動車産業などにも広がりそうです。
 なお、3Dプリンター装置市場をけん引しているのは米国のメーカーです。ストラタシスと3Dシステムズの米2社で7割を超すシェアを握っています。ただ、中国が国産化で巻き返しを狙っており、日本企業も独自技術の開発などを急いでいます。米調査会社のウォーラーズ・アソシエイツは3Dプリンターの世界市場が2021年に12年比で約5倍の108億ドル(約1兆円)に達すると予測しています。
2013年9月2日掲載