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「日本版ISA」について知る

2013.6.17 掲載
2014年1月から証券優遇税制が大きく変わり、「日本版ISA」と呼ばれる制度が新設されます。個人の長期投資を促すのが狙いで、株式や投資信託などへの年100万円までの投資で得られる配当や譲渡益が5年間、非課税扱いになります。ただ、その仕組みは複雑で、上手に利用するには制度の内容を十分に理解する必要があります。今回は日本版ISAの仕組みと利用上の注意点、制度の課題などについて解説します。

3. 1つの投資枠で年100万円まで非課税に(2)

3. 1つの投資枠で年100万円まで非課税に(2)
 例えば、1つの投資枠を使って50万円で買った投信が120万円に値上がりした場合、非課税期間の5年以内に売却すれば70万円の利益には税金がかかりません。逆に50万円で買った投信が25万円に値下がりした場合は非課税のメリットはありません。
 毎年100万円までの非課税投資枠が使えるのはその年限りです。100万円分をまとめて投資しても、いくつかに分割して投資してもOKです。もちろん枠内の商品の売却はいつでも可能です。
 5年の非課税期間の終了後は、商品を売却して利益を確定するか、「特定口座」など通常の課税口座に移すことになります。課税口座に移す際は、非課税期間の最後の日の終価で取得したとみなされます。120万円に値上がりした投信を課税口座に移すと120万円で取得したことになり、その後130万円で売却すれば10万円の売却益に税金がかかります。
 非課税期間の終了後、100万円を上限に翌年(6年目)の新たな投資枠に移して、非課税期間をさらに5年間延長することもできます(繰り越し)。つまり同じ商品を最長10年間、非課税で運用できるわけです。先の例で、50万円で買った投信が5年後に非課税投資枠に収まる25万円になっていた場合は、6年目にそのまま新たな投資枠に繰り越せます。もちろん投資枠を5年で打ち切ってもかまいません。
2013年6月17日掲載