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「2%物価上昇」の行方は?~インフレとデフレの基本を知る

2013.6.3 掲載
安倍政権は発足当初から「デフレからの脱却」を掲げてきました。具体的には「2%の物価上昇率」を目標とし、これを実現するために今年4月には日銀が大規模な金融緩和を打ち出しました。デフレから脱却して物価が上昇に転じるのか、そして日本経済がかつての勢いを取り戻せるのか、各国が注目しています。今回はインフレ・デフレの基礎知識、これまでの物価の推移、物価と金融政策の関係、デフレ脱却の見通しなどについて解説します。

1. 物価変動の基本的なしくみ

1. 物価変動の基本的なしくみ
 私たちは日頃からさまざまなモノを買ったりサービスを利用したりしています。これら全体の価格水準を、個々のモノ・サービスの価格と区別して「物価」といいます。物価変動は私たちの生活にさまざまな影響を及ぼすだけでなく、景気とも密接な関係があり、重要な経済指標の一つとして注目されます。物価の動きを見るための代表的な指標には、消費者が購入する際の価格に着目した「消費者物価指数」と、企業間取引の価格に焦点を当てた「企業物価指数」の2つがあり、特に前者が注目されます。
 物価が上がり続ける現象がインフレーション(インフレ)、逆に下がり続ける現象がデフレーション(デフレ)です。商品やサービスの値段は基本的にそれを買う動きである需要と、売る動きである供給のバランスで決まります。一般に需要が供給を上回れば物価は上がります(インフレ)。逆に、供給より需要が小さくなれば物価は下がります(デフレ)。
2013年6月3日掲載