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医薬品のネット販売について知る!

2013.4.1 掲載
2013年1月、医薬品のネット販売を禁じた厚生労働省の省令に対し最高裁判所が違法とする判決を出しました。「大衆薬」のネット販売が事実上解禁されたため、原告のネット通販会社は販売を再開し、ほかの通販サイトでも販売の動きが広がっています。その一方で、安全のために薬事法を改正してネット販売を再規制すべきとの声もあります。今回は、医薬品の分類、医薬品の販売規制の経緯や関連業界の動向、ネット販売の今後などについて解説します。

1. 薬事法により厳しく規制される医薬品販売

1. 薬事法により厳しく規制される医薬品販売
 病気の診断、予防、治療などに用いられる医薬品は、医師の処方せんにもとづいて使われる「医療用医薬品」と、処方せんがなくても購入できる「一般用医薬品」の大きく2つに分けられます。ドラッグストアなどで売られている風邪薬や胃腸薬、解熱鎮痛剤といったテレビCMなどでもおなじみの薬は一般用医薬品で、これらは「大衆薬」とも呼ばれます。
 医薬品は私たちの健康を守るのに役立ちますが、体に害を及ぼす副作用のリスクもあります。医療用医薬品に比べると大衆薬のリスクは相対的に低いですが、それでも「薬害」の可能性はゼロではありません。利用者の健康と安全を守るためには、副作用リスクについての情報を提供するなど、販売の仕方に注意を要します。このことを踏まえて厚生労働省は大衆薬の「対面販売」を重視しており、薬事法では国家資格者である薬剤師を薬局やドラッグストアに配置し、原則としてすべての大衆薬は買い手にリスクなどの情報提供した上で販売しなければならないと定めていました。
2013年4月1日掲載