国が予算を投じて社会インフラを整備する「公共事業」には、景気対策の側面もあります。不況の際に、国が巨額のお金を使って社会インフラを整備すれば、建設を請け負ったり資材を供給する企業にお金が回り、新たな雇用を生み出したりさまざまな企業の設備投資を促すことが期待できます。
日本ではこれまで景気対策として社会インフラ整備に巨額のお金が投じられてきました。しかし、全国の主要な地域に道路・鉄道網がはりめぐらされるなど、すでに社会インフラが広範に整備された現在では、かつてほどの大きな経済効果は望めません。効果が期待できないにもかかわらず施設や設備を新たにつくってしまえば、長期にわたってその維持管理のためのコストが発生し続けることになります。
少子高齢化や長引く不況の影響により、日本の国家財政は厳しい赤字状態に陥っています。近年では、国の財政支出を削減するために社会インフラの新設に充てる予算は縮小され、2012年度当初予算の公共事業費は約5.1兆円と、1998年のピークと比べると3分の1程度にとどまります。こうした事情は自治体も同じです。