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戦術核

2023.3.27(月) 掲載
軍事拠点などに限定し使用
 対象を敵の軍事拠点などに限定する形で、低出力の核攻撃をしかける兵器のこと。外務省作成の「日本の軍縮・不拡散外交」は戦術核を「一般的に個々の戦場で使用するための核兵器」と記している。局地的な戦闘での使用が想定される短距離核ミサイル、核火砲、核地雷などが例として挙げられている。
 戦術核の対となるのが「戦略核」で、都市を壊滅させるような大規模な破壊能力を持つものとされる。米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)では大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、航続距離8千キロメートル以上の戦略爆撃機などを削減対象の戦略核として挙げている。
 射程や爆発の威力などで区別されることが多いが、戦術核と戦略核にはそれぞれ厳密な定義はなく、個々の兵器についても明確な線引きはない。冷戦期に米国と旧ソ連が核軍備を管理するため、便宜上つくられた分類との考えもある。ロシアによるウクライナ侵攻では核兵器に加え、放射性物質をまき散らすことを目的とした「汚い爆弾」が使用される懸念も広がった。