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人への投資

2022.8.7(日) 掲載
人材「コスト」でなく「資本」
 従業員のリスキリング(学び直し)や賃上げ、職場環境の改善などを通じて、企業が従業員の働きやすさや働きがいを高めること。企業価値の向上につなげるため、人材を「コスト」ではなく「資本」と考える点に特徴がある。岸田文雄首相が「新しい資本主義」で重点項目に取り上げたことで注目を集めた。
 こうした情報は「非財務情報」と呼ばれ、有価証券報告書や決算短信で開示が義務付けられている売上高や利益などと異なり、共通の測定指標や開示ルールがない。自主的に開示する企業はあるものの一部にとどまり、企業間の比較も難しい。投資家からの関心が高まるなか、岸田政権は人的資本に関する情報の開示を企業に求める方針を打ち出している。
 日本は人への投資で後れを取る。厚生労働省の推計によると、国内総生産(GDP)に占める企業の能力開発費の割合は2010~14年の平均で0.1%。米国や欧州は1~2%で推移する。経済協力開発機構(OECD)によると、仕事に関連するリスキリングへ参加する人の割合は日本は35%で、50%前後の米国や英国に比べて低い。