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統合抑止力

2022.6.2(木) 掲載
中国対抗、同盟国と協力
 バイデン米政権でオースティン国防長官が新たに提唱する安全保障の基本戦略。軍事面に加え、経済制裁や外交圧力も含めて米国が同盟国などと一丸となり、国際秩序を脅かす国に対して抑止力を働かせるとの概念だ。同政権の国家防衛戦略(NDS)に盛り込まれた。背景には中国の脅威が軍事的・経済的に高まり、米国単独では対峙が難しくなっている現状がある。
 「核の傘」に代表される、同盟国への攻撃に対してあらかじめ報復を宣言することで、攻撃を思いとどまらせる「拡大抑止力」よりも広範な考え方といえる。バイデン政権は安全保障と経済政策の指針となるインド太平洋戦略で、中国抑止を最重要と位置づけ「統合抑止力」が基礎になると強調した。
 バイデン政権は2021年9月に英豪と「AUKUS(オーカス)」を創設し、日豪印との「Quad(クアッド)」でも首脳会議を開催して連携を深めている。台湾海峡や南シナ海、朝鮮半島などの安定が課題となるなか、日本の役割向上が求められるとの見方もある。