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台湾海峡

2022.1.24(月) 掲載
米中対立で「世界一危険」
 台湾島と中国南東部の福建省の間にある海峡のこと。東西の幅はもっとも狭い所で130キロメートルある。1949年まで続いた国共内戦の末、毛沢東率いる共産党が北京に政権を樹立し、敗北した蒋介石の国民党政府が台湾に逃れた。互いに正当性を主張し合う中台の間で、海峡は政治的にも軍事的にも対立の火種になってきた。
 2021年3月にはデービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が、27年までに中国が台湾に侵攻しかねないと警告。以来、台湾海峡を巡る米中戦争リスクへの懸念も強まり「世界一危険」な場所と呼ばれるようになった。東シナ海と南シナ海を結ぶ主要航路となっており、仮に軍事衝突が起きれば世界経済への影響は計り知れない。
 中台関係は台湾の歴代政権の方針によっても大きく変わってきた。95年には李登輝総統が異例の訪米を成し遂げるが、直後に中国が弾道ミサイルを発射して威嚇。米中による「台湾海峡危機」へと発展した。2000年に台湾独立を志向する民主進歩党(民進党)へ初の政権交代が起きたが、08年に国民党が政権を奪回。16年には対中強硬を掲げる民進党の蔡英文氏が総統に就任し、現在に至っている。