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賃上げ

2021.12.30(木) 掲載
脱・一律要求が広がる
 賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まったが、賃上げ率は2%台前半にとどまり、政府が目指した3%には届かなかった。20年の平均賃金は30万7700円(月給)で、00年から1.8%しか増えていない。
 新型コロナウイルス禍の影響で20、21年の賃上げ率は1%台に落ちた。岸田文雄首相は22年交渉に向けて、業績が回復した企業に対し「3%を超える賃上げを期待する」と表明。労働組合の中央組織である連合も4%程度の賃上げを求める方針を決めた。
 一方、産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。トヨタ自動車本体の労組は今回、全組合員平均で賃上げ額を求める方式をやめる。ソニーの労組もすでに同様の取り組みを始めている。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。