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移民

2021.7.25(日) 掲載
2.8億人、労働力の調整も
 移住して定住する国を変更した人々のことで、国連によると国境を越えた移民は2020年時点で世界で約2.8億人いる。年500万人のペースで増え、世界の人口の約3.6%を占める。増加基調は続いているものの新型コロナウイルス感染拡大の影響も出ており、国連はコロナ禍が移民の増加を約200万人分、下押ししたと推計する。
 人口増加が続く新興国と増加が鈍る先進国との間で労働力の過不足を調整する役割も果たす。国際労働機関(ILO)によると19年の国際移民労働者は1億6900万人と世界の労働力の約5%を占める。米国のトランプ前大統領はビザの発給を厳しくするなど受け入れを絞ったが、米国の移民数は約5000万人と世界で最大。米国以外ではドイツやサウジアラビアも多い。移民の出身国はインドやメキシコが上位を占める。
 デジタルのインフラが普及し、物理的に国境を越えることなく別の国の仕事を手掛ける「テレマイグランツ(遠隔移民)」も増えている。コロナ禍の移動制限もあり、オンラインで仕事を仲介するプラットフォームを通じた仕事の受発注が拡大する。賃金水準が高い国の企業が低賃金国の労働力を活用してコスト削減を進められる一方、欧米などでは中間層の雇用が奪われるとの警戒もある。労働者保護や課税の仕組みが未成熟な問題もあり、ILOは国際的な対応が必要だと指摘する。