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排出枠取引

2021.4.9(金) 掲載
管理主体は3種
 二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出を削減する手法の一種。森林保全や再生可能エネルギーの導入など他の場所で実現したCO2の削減・吸収の量を購入することで、地球全体としてCO2を削減したとみなす。温暖化ガス「実質ゼロ」を打ち出す企業が増えるなか、自社の排出量を相殺できる手段として使われる。
 排出枠を管理する主体は国際機関、国・地方政府、民間機関の3種に分かれる。国際的な枠組みでは「京都議定書」で導入されたクリーン開発メカニズム(CDM)が代表的だ。地域別では欧州連合(EU)が各企業に削減目標を割り当てた取引市場を2005年にスタートさせた。日本政府が主導する2国間クレジット制度(JCM)のほか、中国も全国で取引を始めた。
 非政府組織(NGO)など第三者機関が認証する民間主導の取引も増えている。米国の認証機関が認証する「VCS」が民間で最大の発行量をもつ。世界銀行によると21年までに全体で120億トン規模の排出枠が取引される見通し。一方で排出枠取引の制度は乱立し、削減効果を巡る基準が異なる点などが課題となっている。