きょうのことばセレクション

自社株買い

2014.10.1(水) 掲載
 上場企業が発行済み株式を市場から買い戻すこと。流通する株式数が減るので、1株あたり利益(価値)が実質的に増加したとみなされ、株価上昇につながりやすい。買い戻した株は、将来のM&A(合併・買収)の原資などとして保有するケースが多いが、発行済み株式を完全に消してしまう「自社株消却」を行う企業も目立っている。三井物産は2014年2~3月に自社株買いした500億円分を4月に消却した。
 企業は株主還元のモノサシとして、株式配当と自社株買いを合わせた金額を純利益で割った比率である総還元性向を重視し始めている。金属加工機械大手のアマダは、利益をすべて自社株買いと配当に回すと発表。「100%還元」が話題となり株価も急伸した。新株予約権付社債(転換社債=CB)で資金調達し、それを自社株買いに充てる「リキャップCB」という手法も増えている。東レは1000億円のCB発行と、最大200億円の自社株買いを組み合わせた。
 資本効率に敏感な欧米企業は、さらに自社株買いに積極的だ。DIAMアセットマネジメントの調べでは、米S&P500種株価指数の構成企業は、13年9月までの1年間に4400億ドル(約44兆円)の自社株買いを実施した。アップルは12年から15年末までに1300億ドルの株主還元を予定する。
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