きょうのことばセレクション

石炭火力発電

2014.9.1(月) 掲載
 国内で発電している電力の約3割が石炭を燃料としている。東日本大震災以前は25%だったが、原子力発電所の稼働停止にともない比重が高まった。液化天然ガス(LNG)を燃料とする発電に比べ、燃料費が半分程度と安い。その半面、発電効率の低さや排出する二酸化炭素(CO2)の多さが課題だった。
 課題克服へ向けた技術開発で生まれたのが石炭ガス化複合発電(IGCC)と呼ばれる最新技術だ。まず石炭を蒸し焼きにして発生させたガスを燃料にガスタービンを回す。さらに廃熱を利用し蒸気タービンを回す。2度発電するため同量の石炭からより多くの電気を得られる。現在一般的な方式に比べ発電効率が2割ほど高まり、CO2排出量も2割少ない。
 日本では1980年代に開発が始まった。東京電力や東北電力などが出資する常磐共同火力の勿来発電所10号機(福島県、出力25万キロワット)が昨年、国内初の商用運転を始めた。中国電力とJパワーも広島県で実験機を建設中だ。アジアなど新興国でも増大する電力を賄う技術として注目されており、日本勢にとっては新たな商機となる可能性もある。
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