きょうのことばセレクション

バーチャルプロダクション

2023.5.1(月) 掲載
 ステージ上の人物や物体など現実の被写体と、LEDディスプレーのスクリーンに映し出した仮想の背景を一緒に撮影する手法を指す。カメラが動けば背景の映像も一緒に動き、スタジオにいながら実際に野外でロケをしたかのような映像を撮ることができる。無地の背景で人物などを撮影する手法と異なり、後から別の映像と合成する手間が不要となる。
 新型コロナウイルス禍でロケが難しくなった2020年以降に米国を中心に広がった。作品の規模や制作日数によるが、物理的な移動や合成などの後工程が不要になり、製作費は一般的に約3割安くなる。スタッフや機材を移動させる必要がないので飛行機や自動車から発生する二酸化炭素(CO2)の低減効果も期待される。
 アイルランドの調査会社、リサーチ・アンド・マーケッツによると、世界市場は30年に67億9千万ドル(約9000億円)と22年比で3.7倍になる見通し。外部に貸し出すスタジオ運営ではソニーグループのほか、東映などが参入した。韓国サムスン電子がスクリーン用のLEDディスプレーの機材を手掛けるなど、関連ビジネスも生まれている。
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