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グローバルサウス

2023.3.1(水) 掲載
 南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称で、主に北半球の先進国と対比して使われる。世界経済における格差など南北問題の「南」にあたる。実際に領土が南半球に位置しているかにかかわらず、新興国全般を意味する場合が多い。冷戦期に東西双方の陣営と距離を置いた「第三世界」を表現するときにも使われる。
 1964年に発足した国連内の新興国グループ「G77プラス中国」を指す場合もあるが、近年は中国を除く意味で使われる事例が目立つ。岸田文雄首相は1月に「グローバルサウスに固まった定義はない」と述べたうえで、経済大国である点を理由に「中国を含めて考えていない」との見解を示した。
 ウクライナ情勢を巡り欧米各国とロシアの対立が深まるなか、国連決議などの場面でグローバルサウスの動向が注目されている。グローバルサウスの一員を自任するインドなど、今後の経済成長への期待が高い国も多い。インドは1月にオンラインで「グローバルサウスの声サミット」を開催し、125カ国の代表者が参加した。インドのモディ首相は20カ国・地域(G20)の議長国として「グローバルサウスの声を増幅させる」と表明していた。
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