きょうのことばセレクション

デフレ脱却

2023.3.1(水) 掲載
 物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがなくなること。日本はバブル崩壊後の1990年代半ばにデフレに陥ったとされるが、現在「デフレではない状況」まで持ち直している。植田和男氏が次期日銀総裁に就任すれば、25年にわたるデフレ脱却に向けた取り組みは総仕上げに入る。
 政府は(1)消費者物価指数(CPI)(2)総合的な物価動向を示す国内総生産(GDP)デフレーター(3)賃金動向を映す単位労働コスト(4)需要と供給力の差を示す需給ギャップ――の4指標を重視している。CPIの前年同月比の上昇率は円安と資源高を背景に4%を上回る一方、残りの3指標は勢いを欠いたままだ。
 政府・日銀は2013年1月に2%の物価目標をできるだけ早期に実現することを定めた共同声明を公表。日銀は同年4月に開始した異次元緩和で大量の国債を購入したが、現在も目標は達成できていない。低金利環境が長引くなか、財政規律の緩みや市場機能の低下、急激な円安といった副作用も目立っている。
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