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異次元緩和

2023.3.1(水) 掲載
 日銀が2013年4月から始めた大規模な金融緩和政策。黒田東彦総裁が「量・質ともに次元の違う金融緩和を行う」と説明したことから「異次元緩和」と呼ばれる。資金供給量を大幅に増やして人々の期待に働きかけ、デフレ経済からの脱却を目指した。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の第1の矢と位置づけられる。
 正式名称は「量的・質的金融緩和」で、導入当初は2年程度で2%の物価上昇率を掲げた。世の中に供給するお金の「量」(マネタリーベース)を2年間で2倍に拡大すると約束し、長期国債や上場投資信託(ETF)など買い入れ資産の「質」も多様化した。円安・株高につながったが、物価2%目標は達成できない状況が続いた。
 16年1月にはマイナス金利の導入を決め、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用している。同年9月には長期金利目標と組み合わせた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を導入。政策の軸足を「量」から「金利」に移した。足元の物価上昇率は4%を超えているが、日銀は現在の物価高は一時的とみて金融緩和を続ける姿勢を示している。
異次元緩和