きょうのことばセレクション

CO2の地下貯留

2023.2.1(水) 掲載
 二酸化炭素(CO2)を回収し貯蔵する技術は、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれる。大気中へのCO2放出を回避し温暖化対策になる。CO2を通さない地層の下の隙間が多い場所まで井戸を掘り、気体のままCO2を封入する。経済産業省が北海道苫小牧市で実施した大規模試験事業では2019年までに30万トンを貯留した。
 米国は原油が埋まる地層にCO2を注入して原油を押し出し、回収率を高める手法で実績をあげてきた。世界で進行中の大規模プロジェクトは約200件あり、このうち約60件が22年に新たに発表された。欧米を中心に官民で急ピッチで事業計画が進む。日本は後を追う状況だ。
 水素、アンモニアの活用などで排出削減を進めても、CO2発生を完全になくすのは難しい産業もある。回収して地下貯留することで実質ゼロを目指す。今は高コストでも脱炭素実現の最終段階になるほど必要性は高まる。経産省は50年時点の想定で年1.2億~2.4億トンの貯留量になるとの目安を示している。2.4億トンの貯留には専用の井戸480本分の掘削が必要で少なくとも2.4兆円の費用がかかる。
CO2の地下貯留