きょうのことばセレクション

原賠審

2023.1.1(日) 掲載
 原子力損害賠償法に基づき、原子力事故で生じた損害の賠償額や範囲などを示す文部科学省の第三者機関。委員は原子力工学や医療、法務などの専門家で構成する。1999年に茨城県東海村で起きた臨界事故後にも設置された。東京電力福島第1原発事故を受けた原賠審は2011年4月に設置され、同8月に賠償基準となる「中間指針」を取りまとめた。
 東電は指針に基づき、各地に避難した住民らに対する一律月10万円の慰謝料や、風評被害などの個別の損害に対応してきた。しかし避難者らが「賠償額が実態に即していない」などとして13年3月以降に全国で提訴。22年3月には中間指針を上回る賠償を命じた7件の判決が確定し、原賠審は指針を見直す方針を決めた。
 12日に示された素案では(1)過酷な環境下の避難(2)生活基盤が一変した「故郷変容」(3)基準を超える放射線量地域に一時滞在――による精神的損害を賠償対象とするほか、要介護者や自主避難者などへの賠償を増額する方針を盛り込んだ。今後、指針の「第5次追補」としてまとまる。
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