きょうのことばセレクション

可処分所得

2023.1.1(日) 掲載
 家計の収入のうち、政府への税金や社会保険料などの支払いを差し引いた、いわゆる「手取り」の部分。食品やサービスへの消費などに自由に回せるお金にあたる。収入には労働の対価である賃金のほか、資産運用などによる収益を含めることも多い。総務省によると、2021年の2人以上の勤労者世帯の実収入(労働以外からの稼ぎを含む)は月60万円で、この2割に相当する所得税などの税金や社会保険料(計約11万円)を差し引いた約49万円が手取りとなる。
 日本の家計の可処分所得は全体として伸び悩んでいる。欧州委員会によると、00年と比べて21年は横ばいにとどまる。米国(約2.6倍)や欧州(約1.6倍)と比べて大きく見劣りする。収入が伸び悩んでいることと、社会保障負担が膨らんでいることの両面の理由がある。
 家計が苦しいと支出に影響が出る。例えば消費支出に占める食費の割合である「エンゲル係数」をみると、日本では2020年に26%と00年以降で最高となり、21年も25%強と2番目に高かった。手取りが少ないほど食費が優先されて娯楽費などが削られる。エンゲル係数の高さは生活に余裕がないことを示すとされる。足元で進む食品などのインフレがさらなる懸念材料となっている。
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