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宗教法人法

2022.11.1(火) 掲載
 宗教団体が礼拝施設などを所有し運営するうえで必要な法人格を与えることを目的として1951年に施行された。宗教法人の活動のうち、経費管理といった宗教活動以外の事務運営について規定する。政教分離原則を定めた憲法20条に基づき、信仰や規律といった宗教活動には行政が干渉してはならないと定める。
 オウム真理教による一連の事件後、宗教法人の運営面の透明化を図る狙いで95年12月に改正。所轄庁が宗教法人へ質問し、業務に関して報告を要求できる権限を設けた。答えなかったり虚偽の報告をしたりした場合は10万円以下の過料を科すと規定。文化庁によると、調査は(1)収益を宗教法人以外で使用(2)宗教団体の要件を欠く(3)解散事由に該当する――疑いがある場合が想定され、事前に宗教法人審議会に諮問する必要がある。これまで行使されたことはない。
 裁判所は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」などがみられた場合、所轄庁や検察官、利害関係者からの請求または職権で宗教法人の解散を命じられる。過去に解散命令が出されたのはオウム真理教と、霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺(和歌山県)の2件だ。
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