きょうのことばセレクション

LDI(債務連動型運用)

2022.11.1(火) 掲載
 Liability Driven Investmentの頭文字を取った略語で「債務連動型運用」などと訳される。各基金ごとに将来の年金支払額の見込みを作り、それに運用収入が見合うように債券を中心に運用する仕組み。インフレや金利変動に備える特徴がある。将来の支払いを約束している確定給付型の年金基金で用いられることが多い。
 英国で2005年に会計制度が変更され、年金債務を厳しく見積もるようになり普及した。英国の年金制度は終身であったりインフレ率に連動させたりするなど手厚い。企業の支払い負担が大きいため、LDIの重要性が高いとされる。国債や金利の高い社債の市場が小さいため、英国では金利スワップというデリバティブ(金融派生商品)を使って金利変動リスクをヘッジする手法が広がった。
 英国ではLDIの2021年の運用規模(想定元本ベース)は1.6兆ポンド(約260兆円)とこの10年で約4倍に増え、利ざやを稼ぐために数倍のレバレッジ(てこ)をかける年金も出ていた。米国でもLDIを使う年金はあるものの、社債市場が大きく社債でキャッシュフロー(現金収支)を調整することができ、デリバティブの活用は広がっていない。
LDI(債務連動型運用)