きょうのことばセレクション

ローミング

2022.8.1(月) 掲載
 携帯電話事業者が他の事業者の通信網に乗り入れる仕組み。旅行や出張などで海外に滞在中、国内で契約している携帯電話で現地の事業者の通信網に接続し、通話やインターネットを利用できる「国際ローミング」も含まれる。KDDIの大規模通信障害では119番や110番などの緊急通報が長時間できなくなり、国内での導入に向けた議論が高まっている。総務省はローミングの導入を検討する会議を立ち上げる。
 携帯電話が生活に欠かせないインフラになったことで、欧州の多くの国では緊急時に通信を確保する手段として普及している。国内では11年の東日本大震災後、緊急時の通報手段を確保する観点から総務省の検討会で議論した。ただ、当時は通信規格「3G」の方式が各社で異なり具体的な検討が進まなかった。
 現在は音声通話の規格が共通化され、当時と比べて導入へ向けたハードルは低くなっている。だが、実現には法令の壁が立ちはだかる。電気通信事業法の設備規則は、通話が途切れた場合に消防署などから発信する「呼び返し」の機能が必要と定める。他社の通信回線を経由すると利用者のデータが残らないためかけ直しは技術的に難しい。どのような場合に適用するかや企業間での料金精算などのルール整備も必要になる。
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