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一人っ子政策

2022.8.1(月) 掲載
 中国共産党が1980年ごろに導入した人口抑制策。1組の夫婦がもうける子供の数を1人に制限した。主に都市部で実施され、労働力を必要とする農村部や少数民族地区では適用しなかった。導入当時「中国の人口は2050年に40億人まで増える」との調査が発表され、まだ世界の最貧国だった中国では人口増加による食料不足への懸念が強かった。
 人口抑制の効果はあった。1987年に2500万人を超えていた出生数は、20年後の2007年に約1600万人まで減った。ただ人口構成もゆがんだ。15~64歳の生産年齢人口は13年をピークに減少が続く。高齢化も主要国最速で進む。全人口に占める65歳以上の比率は21年末に14.2%で、国際基準で同14%超とされる「高齢社会」に入った。同7%超の「高齢化社会」になってからの期間は21年で、早い国で40~50年だった欧米や25年だった日本より短い。
 中国政府は16年に全ての夫婦に2人目、21年に3人目の出産を認めた。ただ「子は1人で十分」という考えがすでに社会に浸透し、少子化に歯止めがかかっていない。21年の出生数は1062万人と、1949年の建国以来の最少を更新した。
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