きょうのことばセレクション

移行金融

2022.5.1(日) 掲載
 企業が将来的な脱炭素に向けた設備投資や研究開発に必要な資金を調達しようと株式や社債を発行したり、銀行から融資を受けたりする手法をいう。新興国や二酸化炭素(CO2)排出量の多い製造業などには環境負荷低減への課題が多い。排出量の実質ゼロへの途中段階での設備や技術の導入は、地球規模で現実的な脱炭素を進めるためのカギとなる。
 経済成長が続くアジアの新興国には稼働年数の浅い石炭火力発電所が多い。石炭火力から出るCO2を減らすための技術の導入が必要になる。燃やしてもCO2が出ないアンモニアは解決策のひとつになる。石炭とアンモニアを混ぜて燃やす技術や設備に資金が行き渡らなければ、脱炭素は遠のく。
 「火力発電の延命策」との批判もあり、企業や各国の政府の脱炭素への本気度を見極めなければ融資は困難となる。融資対象として適切な技術をまとめた第三者によるリストを活用したり、政府や企業に脱炭素への具体的な工程表の策定を求めたりする取り組みが欠かせない。
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