きょうのことばセレクション

予備費

2022.5.1(日) 掲載
 自然災害や急激な景気悪化といった不測の事態に、政府が柔軟に対応できるよう使い道をあらかじめ定めずに毎年度の予算に計上する費用を指す。災害などに備える一般的な予備費は年3000億円前後で推移していたが、近年は5000億円の計上が定例化している。
 東日本大震災や新型コロナウイルス対応などに特化した予備費を別枠で確保することもある。コロナ対応予備費は2020年度春以降の補正予算で計9.65兆円を積み、21~22年度も当初予算で5兆円ずつを計上するなど異例の規模に膨らんだ。政府は4月中に取りまとめる物価高の緊急対策の原資として、22年度予算に積んだコロナ対応などの予備費5.5兆円の一部を充てる。
 使い道は予算成立時に決まっておらず、政府が閣議で決める。財政法は「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は予備費として相当と認める金額を歳入歳出予算に計上することができる」と定める。使い道の事前議決が義務づけられている一般の政策経費と異なり、国会の監視が及びにくく「財政民主主義に反する」との批判は根強い。乱用が進めば「政府の便利な財布」となりかねない。
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