きょうのことばセレクション

ポイズンピル

2022.5.1(日) 掲載
 代表的な買収防衛策の一つ。有利な条件で株式を追加購入できる権利を敵対的買収者以外の株主に与えるなどの仕組みで、買収を仕掛けられた際に発動する。全体の株式数を増やすことで買収者の議決権比率を下げ、買収を困難にする。「食べたら毒(ポイズン)が回る薬(ピル)」という例えから、このように呼ばれるようになった。
 M&A(合併・買収)が盛んな米国で生まれ、1980年代から急速に普及したといわれる。法制度が違う日本でも似た手法が可能で、2005年に当時のライブドアに買収を仕掛けられたニッポン放送が買収防衛策として使おうとしたことなどをきっかけに注目を集めた。
 買収防衛策として強力な効果が見込まれる一方、既存株主にとっては株式の価値が低下したり、経営者が保身を目的に乱用したりする負の側面も懸念される。そのため防衛側の企業が発動したポイズンピルに対し、買収者側が「無効だ」と裁判に訴えることもある。裁判所は、その敵対的買収が企業の経営や効率性に脅威だとする合理的な根拠があるかなどの基準で、ポイズンピルの発動が正当かどうかを判断する。
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