きょうのことばセレクション

排出量取引

2022.4.1(金) 掲載
 二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減手法の一種。企業ごとに温暖化ガスの排出量の上限を割り当て、排出枠として売買する仕組みだ。実際の排出量が上限を超える企業は、余裕のある他社から排出枠を買う必要がある。温暖化ガスの「実質ゼロ」を目指す企業は排出枠を買えば実現に近づく。
 国際機関や政府が運営する制度としての排出枠取引と、民間が主体となる取引がある。欧州連合(EU)は2005年、各企業に削減目標を割り当てた取引市場を創設した。国内では政府が認証する「J―クレジット」制度があり、みずほリサーチ&テクノロジーズによると登録件数は21年度は897件(3月10日時点)。5年前の1.5倍に増えたが、規模は欧州などに比べ小さいとされる。
 経済産業省は排出量を売買できる新たな取引市場を23年4月に設ける計画で、J―クレジットを含めた排出量取引の活性化を図る。ただ欧州の排出量取引は排出可能な量を示して削減を義務付けるのに対し、日本は企業の参加が任意となる見通しで、実効性に課題が残る。
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