きょうのことばセレクション

供給制約

2021.12.1(水) 掲載
 モノやサービスの需要に対し、人手不足や物流の停滞などで供給が一時的に追いつかないこと。新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた個人消費や設備投資が経済活動の再開に伴い急激に持ち直す一方、世界的な半導体不足で自動車などは生産にブレーキがかかっている。供給制約が長引けば、インフレ圧力の高まりを通じて世界経済の逆風になる懸念もある。
 一般的に供給制約のような需給の逼迫は物価の上昇要因になる。米国の消費者物価指数(CPI)は9月に5.4%上昇と、5カ月連続で5%台の高い伸びを示した。新型コロナの感染が広がった2020年5月にはゼロ%近くまで低下していたのが一転し、足元では供給制約に加えて原油など国際商品価格の高騰も物価を押し上げている。
 2%の物価安定目標を掲げる中央銀行は難しいかじ取りを迫られる。米連邦準備理事会(FRB)は足元の高インフレについて「一時的」との見解を崩していないものの、供給制約が解消されなければ物価高が想定以上に長引く可能性もある。急激なインフレが個人消費の抑制や企業収益の圧迫を通じて景気を冷やしかねない。
供給制約