希望出生率

　若い世代の結婚や出産の希望がかなったときの出生率の水準。「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者が約9割を占めた調査を前提に、夫婦が予定する子どもの数（2.07人）に離婚などを勘案し、1.8を想定した。2015年秋、戦後初めて政府が公式に掲げた出生率目標であり、20年に策定された現行の少子化社会対策大綱にも「令和の時代にふさわしい少子化対策」の目標として盛り込まれている。
　出生率とは一般的に合計特殊出生率を意味し、1人の女性が一生の間に産む子どもの数を示す。20年の出生率は5年連続で低下し、1.34まで落ち込んだ。現在の人口規模を維持するのに必要な人口置換水準（00年以降はおおむね2.07）には遠く及ばず、希望出生率の水準も1984年（1.81）以降、実現できていない。
　世界でも多くの国・地域で出生率低下が進む。日本は深刻な低出生社会に陥る分かれ目とされる1.5を95年以降下回り続ける。産みたい人が産める環境づくりが必要だが、従来の施策の延長では希望出生率はおろか、1.5まで引き上げるのも困難な状況だ。