きょうのことばセレクション

預貸率

2021.11.1(月) 掲載
 金融機関の預金がどれだけ貸し出しに回っているかを示す指標で、貸出金残高を預金残高で割って計算する。数値が高いほど融資が活発で、数値が低いほど融資していない預金が余っているといえる。金融庁の元地域金融企画室長の日下智晴氏は「『産業構造』『人口動態』『金融機関の競争』の3つの要素が預貸率を左右する」と指摘する。
 経済が成長していた時期は企業や個人の資金需要が旺盛で、銀行の預貸率が100%を超えることもあった。全国は2001年3月末で87.0%あったが、バブル崩壊後の景気低迷などで低下が続き、21年3月末には58.1%まで落ち込んでいる。
 足元の預貸率を地域別でみると、西日本が高い傾向がある。造船や海運業が集積する愛媛県に加え、新型コロナウイルス感染拡大前までインバウンド需要に沸いた沖縄県などがけん引する。一方で大都市近郊のベッドタウン地域は預金が過剰になりやすく、預貸率も低い。21年3月末の都道府県別の預貸率をみると、最も低いのは大阪府に隣接する奈良県の37.6%だった。東京都に隣接する埼玉県、千葉県、神奈川県もいずれも40%台にとどまり、全国平均を下回っている
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