きょうのことばセレクション

労働組合

2021.9.1(水) 掲載
 労働者が労働条件の改善や社会的地位の向上を目的に結成する団体。産業革命で先行した英国では19世紀半ばまでに全国規模の職業別労組が生まれ、団結して資本家との賃金交渉を行った。20世紀に入ると米国で鉄鋼や自動車など大量生産型の製造業で産業別労組が成長。経営側と対立し、しばしばストライキを行った。
 1980年代以降、英米では労組の中核を担ってきた製造業が衰退した。頻発するストライキに対する国民の不満の高まりもあり、労組の組織率は低下した。米国では近年、労組の過度の弱体化が経済格差の拡大の一因になったとの見方が広がり、バイデン大統領は労組の権限を強化する法律の制定を目指している。
 日本では第2次世界大戦後、独自の企業別労組が発展した。年功型賃金、終身雇用とともに労使協調の基盤となり高度成長を支えた。日米英で組織率が下がる傾向にあったのとは対照的に、北欧やドイツでは大規模産業別労組が健在だ。労組の代表が企業経営に参加する「従業員代表制」も定着するなど存在感は大きい。持続的な賃上げを通じて格差を縮小させる役割を果たしているとの指摘もある。

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