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気候変動リスク

2021.8.1(日) 掲載
 二酸化炭素など温暖化ガスの排出で、経済や社会が被るリスクを指す。国際組織である気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、気候変動リスクを「移行リスク」と「物理的リスク」に分類し、それぞれシナリオに応じて分析するよう推奨している。
 移行リスクは政策と法律、テクノロジー、市場、評判などに分類される。法律策定やテクノロジーの発展で、特定の産業が陳腐化したり、温暖化ガスの排出量が多いことなどを理由に、企業の評判が低下したりするリスクが考えられる。物理的リスクは竜巻や台風などによる被害や海面上昇などで本社や工場が浸水するようなケースを想定している。スイス・リー・インスティテュートによると、世界の自然災害による被害額は20年に1895億ドル(約21兆円)と00年と比べて4倍に増えた。
 国内では金融に加え、食品やエネルギーなどで開示が進む。アサヒグループホールディングスは、産業革命以前と比べて21世紀末までに気温が4度上昇する場合、トウモロコシの価格が2050年に約59%上昇すると分析した。INPEXも電気自動車など低炭素エネルギーの切り替えが進んだ場合の財務的評価を実施している。
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