きょうのことばセレクション

租税回避

2021.8.1(日) 掲載
 多国籍企業による各国・地域の税率差を利用した節税のこと。税率の高い国で計上するのが自然な所得を低税率国の関連会社に移し替え、グループ全体として税負担を軽くする。税率が高い国の会社から低い国の関連会社に高額の利子を払う例がある。高税率国の会社が開発した特許などの無形資産を低税率国の関連会社に譲渡し、その関連会社で特許収入を稼ぐ手法もある。
 米欧企業が積極的で、税負担を減らす工夫はタックスプランニングと呼ばれ、指南にたけた税理士も日本に比べ多い。米IT(情報技術)企業は、アイルランドに2つの法人をつくり、さらにオランダの法人を介在させてライセンス料収入への課税を回避するケースが目立つ。2つの国の税制の違いに目を付けたこの手法は「ダブル・アイリッシュ・ウィズ・ダッチサンドイッチ」と呼ばれる。
 経済協力開発機構(OECD)は過度な節税を問題視して2012年に「BEPS(税源浸食と利益移転)」プロジェクトを立ち上げた。各国政府が連携して多国籍企業の税逃れをやめさせようと国際ルールづくりを進めてきた。
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