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雇用のミスマッチ

2021.6.1(火) 掲載
 求人側と求職側の需要が合わず、企業の雇用に過不足が生じる状態を指す。直近では新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、飲食業や観光などの業界は休業が余儀なくされ、雇用に過剰感が生まれつつある。一方、企業のデジタル化の加速でIT(情報技術)人材は不足が指摘されており、業種や雇用形態、地域の壁を越えた人材移動が欠かせない。
 総務省の労働力調査(詳細集計)によると2021年1~3月の失業者214万人のうち「希望する種類・内容の仕事がない」と答えた人はコロナ前の19年の同時期に比べ20万人増え、64万人だった。「自分の技術や技能が求人要件に満たない」と回答した人も14万人いる。労働者が人手不足の業種で働くのに必要な能力やスキルを身につけられる機会が重要になっている。
 政府はコロナ下で、出向や配置転換などの企業の取り組みを雇用調整助成金などで支援してきた。帝国データバンクが21年4月の調査で正社員が不足する状況を業種別で聞いたところ「情報サービス」の企業は54.1%が足りていないと回答した。「メンテナンス・警備・検査」など2業種が55.6%と最多で「医療・福祉・保健衛生」(44.4%)も不足感が目立つ。
雇用のミスマッチ