きょうのことばセレクション

K字経済

2021.6.1(火) 掲載
 富裕層と貧困層の経済格差など経済の二極化が進む状態。所得階層別に収入や貯蓄の増減などをグラフ化すると、上下に開くK字を描くことから名付けられた。新型コロナウイルス禍が長期化するなか、低賃金労働者ほど雇用環境が悪化し、株高の恩恵を受ける富裕層に富が集中する現象が世界的に広がっている。
 格差が深刻な米国では1月に就任したバイデン大統領が中間層の復活を掲げ、K字経済の克服に力を入れている。柱となるのは増税だ。トランプ前政権時代に引き下げられた法人税率を再び引き上げ、富裕層向けのキャピタルゲイン課税なども強化する方針。衰えていた税の所得再分配機能を修復することで、K字の開きに歯止めをかけたい考えだ。
 コロナ下では学歴による経済格差も顕在化している。国際労働機関(ILO)などの統計では、主要国の就業者に占める大卒などの高学歴者の比率が高まる一方、中等教育しか履修していない人の比率は下がっている。産業界でも好調な企業と落ち込みが続く企業との間で、業績の格差がK字化する傾向が出ている。
K字経済