きょうのことばセレクション

地域間送電網

2021.5.1(土) 掲載
 大手電力会社の通常の供給エリアをまたいで電気を送る送電線のことで、連系線と呼ばれる。災害や事故が起きた時などに地域間で電力を融通できるようにして停電を防ぐ役割がある。日本は各地域で独占的に事業を運営する大手電力がそれぞれ電力の供給体制を整備してきた経緯があり、連系線で大量の電力をやりとりすることは想定してこなかった。
 2011年の東日本大震災は既存の仕組みの限界を浮き彫りにした。福島第1原子力発電所などが被災し、東京電力エリア内で供給力が大幅に減少した。全国的には十分な供給力があったにもかかわらず、東電管内は計画停電を迫られた。連系線の容量がネックとなり、不足分を補う電力を融通できなかったためだ。
 南北に細長い日本の連系線のネットワークは「串だんご」と表現され、網の目のように電力網が張り巡らされた「メッシュ状」の欧州と対比される。串だんご型のネットワークは停電が他エリアに及びにくい半面、電力を相互に融通しにくい制約がつきまとう。
地域間送電網